ブーランジュリー ゴフ

上福岡の駅前通りをまっすぐ、川越街道に交差する手前100mあたりの角を少し左に曲がった場所。毎日この近くを通っている人でも気付かないほど、住宅街に溶け込んだ立地にあるパン屋が「ブーランジュリー ゴフ」だ。
店主の相馬氏はもともとはコッペパンで有名な老舗のベーカリー「リヨン」の一之江店、フランス発祥のスイーツの名門「ダロワイヨ」の自由が丘店など、華やかな現場でひたすらパンを焼き続けてきた生粋のパン職人。

パンの魅力に開眼したのは洋菓子専門校に通っていた頃だという。実習の一環としてパンを焼いた際に、小さな生地が膨らんでさまざまな形や大きさに変わり、風味や香りもそれぞれであることに感動を覚えた。以来十数年、パンの魅力を探求し続けて幾つもの店舗に勉強に入り、それぞれの店のパン作りを見てきた。そして2007年、晴れて地元である川越の隣町に店を構えたということだ。
通りから一本入っているのは、自宅兼のベーカリーとしているため。しかし新しい店舗の割には間口も狭いし、ショーウインドーは小さく、流行のセルフ方式でもない。古典的な対面販売で細々と営んでいるのだ。その答えを求めると、「欧米のパン屋さんは対面販売なので。そんな会話の生まれる店にしたかったんです。」という声が返ってきた。細々と商売ができればいい。地元の人々に愛される小さな店を、自分の目の届く範囲で長く続けていきたい。そんな思いが店作りに込められている。

上福岡をはじめふじみ野近郊は車が中心の社会。郊外のショッピングセンターには多種多様な焼き立てパンを揃える店も数多く入っているが、それでも敢えてこの店を選んで訪れるお客さんは多い。
ゴフのパンはそれらの店と比べれば少し割高だし、小ぶりで見た目の華やかさもないのだが、食べてみればぎゅっと詰まった小麦の香りが一気に口一杯に広がり、余分な材料を加えていないことが分かるだろう。作り手の顔がわかる対面販売、安心できる素材というのも、商品の価値の一つである。
安心して食べられて、小さくても美味しさが詰まったパン。そんな言葉がゴフにはよく似合っている。





