ゆきやなぎ 名栗店

青梅や飯能市街から約30分、緑の深い森の中に広がる名栗渓谷は、清流が流れる水と緑のレジャースポットとして、東京都心から日帰りで訪れるファミリーなどにはお馴染みの場所だ。ひときわ見晴らしの良い高台にあり、絶景露天風呂で有名な「さわらびの湯」のすぐ脇にある食事処が「ゆきやなぎ」である。
日帰り温泉の付属施設というイメージでこの店のうどんを食べると、一口でその出来の素晴らしさに面食らうであろう。そのくらいの感動が味わえるうどんの名店として、今回はその魅力を探っていこうと思う。

店主の大久保氏は飯能市議会の議員という異色の肩書きをもつ職人。かつては公務員だったということだが、「何か新しいことを始めたい」という衝動に駆られ一念発起。手探りで始めたのがそばとうどんの食事処であった。創業当初は蕎麦のみを手打ちし、うどんは製麺所から購入していたそうだが、なかなか満足いくうどんはできなかったという。

その後、試行錯誤を繰り返しながら、自己流で編み出したのが現在の手打ちうどん。飯能付近をはじめ、埼玉西部は“武蔵野うどん”と呼ばれる手打ちうどん文化が根付く地域だが、大久保氏が打つ麺はそれとも一風違う。滑らかでコシがありながら、するすると長くどこまでも伸び、どんなに高く持ち上げても決して切れない。それでいて葉で噛み切る時の感覚は極めてスムーズ。どうすればこんな麺が打ちあがるのかと不思議に思うほどだ。




