和楽 花音

川越らしさを感じる名所のひとつ「菓子屋横丁」。この中ほどにあり、清涼感あふれる和の甘味と軽食をいただける茶房が「和楽 花音」(かおん)だ。
店の母体となっているのは蔵通りにある「かすが」という日本料理店。その店主であり、きっぷの良さと持ち前の明るさで川越の商店主の間でも評判の女将・森田さんが、菓子屋横丁に明るい雰囲気を与えたいと始めた店が、この花音である。

店の入り口に売られているのは昔懐かしいおもちゃの数々。「昔はこのへんは駄菓子製造の店が集まっててね、いい匂いが立ち込めていたんだよ。いまは作る人もほとんどなくなっちゃったけどねえ」と森田氏は語る。
現在の菓子屋横丁は観光客向けの店が並んでいるのだが、それは昔から川越を知っている人から見れば、昔からの「菓子屋横丁」とは別物ということだ。とはいえ、この横丁は川越の人々が大切に守り続けている大切な空間。実は「花音」も古い店ではない。ここにもともとあった店舗が閉店してしまい、空き店舗にしたくないという横丁の人々の声で森田氏に白羽の矢が立ち、2007年に出店したばかりの店である。

「この辺りは駄菓子の世界だから、売れても何十円とか100円の世界。もうかる場所じゃないんだけどね」と笑みをこぼす女将さん。言葉の背景には、この場所が大好きで、その場所に関わって、いつまでもこの場所を残したいというい思いが秘められている。そしてその思いに賛同したスタッフが、一丸となって店を切り盛りしている。
おもちゃが並ぶ店頭から奥に入ると、喫茶のスペースが広がっている。花音の名物メニューはくずきり、ところてん、寒天など和の甘味だ。産地や素材の良さを高らかに謳うことはしないが、そこは和食店の主、必要なポイントにはしっかり手間を創意工夫、そしてコストをかけて作っている。

一番人気だという「抹茶とくずきり」(セットで650円)はすっきりとした黒蜜が短めのくずきりに適度に絡み、清涼感のあるのど越し。抹茶は宇治産を使い、一回一回丁寧に立ててくれるもので、濃いながらも苦味が少なく後味が良い。





