クルミドコーヒー

JR西国分寺駅の南側には、地名の由来となった国分寺の跡や国分尼寺、「万葉集」に歌われている植物を集めた万葉植物園、東京の名水の一つである湧水沿いの「お鷹の道」といった遊歩道など、他のエリアから訪れる人も多い歴史と文化の香りが残る地域である。そんな西国分寺の南側のロータリーに降り立つと、右手の「いずみホール」の向こうに、くるみ割り人形のマークが掲げられたガラス張りのお店が見える。それが「クルミドコーヒー」である。

店主の影山氏はこのエリアの出身で、過去の歴史を含めてこのエリアを愛してきたという。2008年10月に店をオープンした時も、昔からそこにあったような“懐かしい空間”を創り出したいと考え、店内の雰囲気をクラシックなヨーロピアン調にまとめたという。
店内の装飾は、木、ガラス、鉄、石など、自然界にある物で全て統一されている。また、アンティークの家具やBGMに流れるバロック音楽など、歴史あるものにしか醸すことができない空気が店のここかしこに溢れている。古くなると汚くなるのではなく、古くなることで味が出てくる“本物”ばかりを集めた空間だ。そのため、木のようなシールやガラスのようなプラスチックは一切使用しない。アミューズメントパークとはそこが大きく異なるところで、お店のスタッフは、店内にある物は食べ物や飲み物だけでなく調度に至るまで「何でできているか」わかっている必要があるという。
また、クルミが店のコンセプトとなっているだけに、さまざまな趣向も広葉樹が中心となっている。まず、店に一歩足を踏み入れると大きな木の下に立ったような印象を受ける。入口が吹き抜けになっていて、見上げると木の上に造られた小屋のようなブースも設けられているのだ。

地下に下りる小さな階段もあって、下りてみると広い落ち着いた空間。水出し用のサイフォンが壁面に置かれ、部屋の中央には、とちの木でできた大きなテーブルが。樹齢300年くらいのとちの木だという。通常は2枚分取れる厚さをあえて1枚板として使用。そこにも影山氏のこだわりがある。地下の部屋は窓がないため、空気が淀んでしまうイメージがあるので、大きな木のテーブルが呼吸することで空気を浄化してくれるような気持ちをお客様が持っていただけるよう、お客様にゆったりと寛いでいただくための配慮なのだ。
2階に上がると今度はひな壇のようになっていたり、小屋のようなブースへの階段もあって、店内を見るだけでワクワクする。初めて来店した時は、どの席を選ぶかで迷ってしまうに違いない。





